ゴウ
【ゴウ】2004.9.2

害虫サバイバル

ボリボリ・・・ガリガリ・・・



少年は暗闇の中、必死に体中を掻き毟っていた。



かゆい・・・かゆいよぉ・・・



一体、誰なの? 僕をこんなに痒くしてるのは?



誰か・・・誰か、僕を助けて・・・





ガバツ! 悪夢にうなされて布団から飛び起きる。



寝ぼけながら時計に目を向けると、まだ午前6時過ぎ。



いつも昼の12時まで寝てる紳さんにとって早すぎる時間だ。





「くそっ! またあの夢か! ・・・。 いや、これは・・・」





ふと自分の体を見つめてみる。





「へへっ・・・どうやらこいつは夢なんかじゃ無い、か。」





体中にブツブツと湧き出た湿疹。そう、これは





害虫(むし)刺され





これはある暑い夏の日の出来事である。紳さんの部屋にはクーラーなんてない。



よって紳さんは夏の夜、寝るときは裸だ。それもただの裸ではない。 



靴下のみ着用したスタイルだ。





異変が起きたのは裸で寝始めてから3日後。



体中に何者かによる無数の刺し傷が現れたのである。



初めのうちは蚊に刺された程度だと思っていた。





「これも立派な夏の風物詩、我慢しよう。」





そう自分に言い聞かせていた。



しかし、時間が経つにつれて刺される数も増え、それに伴う「かゆみ」はもはや





人智の範疇を大きく越えていた・・・





虫刺されは掻くと悪化する、なんて事は良く知っている。



しかし、掻かずにはいられないほど かゆい。かゆい。 かゆい。 かゆい。 好きだ。 かゆい。



皮膚が破れ、血が噴き出るくらい掻いても、この「かゆみ」はどうにもできない。





この害虫は蚊やダニといった一般的な虫ではない。



普通、蚊はこんなにたくさん刺さない。



それに蚊などの羽虫なら羽音でわかる。





さらにこの害虫はダニでもない。



ダニに刺された場合、刺し傷には2つの穴が残る。



しかし、刺し傷の穴は明らかに一つだった。



さらに、ダニに刺されたくらいではこんなに腫れない。



こんなにキミのことを想ったりしない。



キンチョールは撒いた。 バルサンも焚いた。



それでもヤツラは夜になると俺に攻撃して姿を消す。



ヤツラに対してあきらかな殺意を抱いた。





事件が起こってから一週間。



ヤツラとの接触までそんなに長い時間はかからなかった。



仕事を終えて帰宅。 いつものように疲れた体をひきずり部屋に入る。



今日も悪夢が始まるのか・・・憂鬱になりながら部屋の電気をつける。



部屋中を眺めてもなにも変化は無い。いつもの紳さんらしいチャーミングな間取りだ。



すると、急に靴下のゴムの辺りが痒くなってきた。パンツとかもそうだが、ゴムの部分は痒くなる事がある。



靴下を脱ごうと右足の靴下に手をかけた瞬間、俺は血の毛が引いた。





一匹、二匹、三匹・・・5,6,7・・・なんじゃこりゃ





もう片方の足も見ると、そこにも大量の小さな虫が群がっている。



すぐさま、靴下を脱いで放り投げてしまった。何匹かはすでに脚にしがみついてきた。



慌ててヤツラを手で払い落とすと、その中の一匹がピョン、と跳ねた。



非常に小さい。 体調は0.5~1ミリといったところか。素手でつかまえようとすると、消える。



瞬間移動をしている。 だが、そんなハズはない。



目で追えない速さでジャンプして、瞬間移動したかのように見えた。





ノミだ。





ノミ。 聞いたことがあるかも知れない。ピョンピョン跳ねる、あの虫だ。



これがそうなのか? 必死に捕まえようとするが難しい。



なんとか捕まえて、親指の腹と人差し指の先で軽く押しつぶす。





「殺った。」 





そう安心しきって指を開く。 すると・・・





ピョン♪





人差し指の先から黒い小さなゴマのようなものが跳ねた。



体が小さすぎて、柔らかい肉で挟んだくらいでは致命傷は与えられなかった。



しかし、激しい怒りと殺意を抑えられず、夢中でヤツラを探す。見つけた。 



再度チャレンジ。捕まえた。 今度は逃がさない。



ゆっくりと力をコントロールして両手の親指爪と爪の間に潜り込ませる。





一気に押しつぶすと、 プチ っと音を立て小さな感触が爪越しに伝わる。





報復攻撃と言うのはなんと気持ちが良いものだろうか。ブッシュ大統領の気持ちが良くわかる。



深い快感に陶酔しながら、ふと、我に返る。



ヤツラはどれくらいの軍勢でこの部屋に攻めてきたのか?



モコモコとした犬のぬいぐるみを手にとり、ヤツラを探す。



いた。 いっぱいいる。 立て篭もっている。体を小さく丸めて、スヤスヤと眠っている。





畳のわずかな隙間、タオルケットの繊維、およそ全ての衣類・・・



おそろしく膨大な数だ。 とても素手で殺しきれない。



それにまだ、ヤツラの性質も完全に理解できていない。





「こいつは、やべぇ。作戦会議が必要だ。」





こうして紳さんとノミ達との生き残りを懸けたサバイバルが始まったのであった・・・

 

 

とりあえず、ノミの知識を仕入れるために図書館へ。



本を読んでわかったこと。





・ノミは何度でも刺す。(蚊と違って腹具合に関係なく吸血)



・ノミは人間の吐く二酸化炭素に反応する。



・ノミの毒はかなり強い。



・かゆみは蚊のそれとは比べものにならない。



・刺されたら、長い間かゆみが消えない。



・ノミは積極的に住みかを探して移る。






さらに、生きた知恵袋(ゴウの祖母)にノミの死骸を見てもらうことに。





「婆ちゃん、見てくれ。ノミが出たんだ、俺の部屋に」





「何言ってるんだい、東京にノミなんていやしないよ。」





「じゃあ、これを見てくれ。」





ノミの死骸を手渡す。





「こんなのノミじゃないよ。ノミってのはもっと大きいんだよ。」





コレはノミじゃなかったのか・・・





でも、よく考えたらこの虫がノミかどうかなんてのは些細なこと。



重要なのは、どうすればこの害虫の被害から身を守れるか。



とりあえず、薬局へ。





『バルサン霧状タイプ ノミ用』





婆ちゃんが「ノミなんて東京にいない」と言う割には、こんなものが売ってました。



摩訶不思議ですね。





そんなこんなで戦闘準備完了。



部屋に戻ると、飽きもせずゴマみたいな虫がピョンピョン跳ねてます。



まずは、宣戦布告から。





「えー、諸君らに告ぐ。ただちにこの部屋から出て行きたまえ。さもなくば、攻撃をする。」





「ピョン」



ゴマみたいな虫が、ふくらはぎにしがみ付いてきた。





「繰り返す。ただちにこの部屋から出て行け。」





「チクッ。 チュ~」



食事の時間らしい。









  8月19日 PM 2:30

~戦闘開始~





「急いで被害状況を確認しろ!」





「隊長、ふくらはぎ三等兵がやられました。毒です!!」





「くっ・・・奴はもう、助からん。モルヒネを打て。それから、本部に連絡だ!」






「まだ例の兵器の使用許可が降りないのですか?」





「まだ使用上の注意を読んでいる最中だ。





「第3防衛ライン、突破されました。 来ます!」





ピョン





ピョンピョン





ピョンピョンピョンピョン





ピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョン







「もう、限界です! やつらが押し寄せてきました。」





「よし、本部の許可が降りた!! アレを使うぞ。全ての窓を閉じろ!





部屋を密室にし、部屋の中央にバルサンをセット





「セーフティ解除! カウントダウン、はいります」

























プシューーーーー!!





勢いよく白い霧状のモノがバルサンから噴出された。





「総員、退避!」





  同日 PM 2:31

~戦闘終了~





百年戦争、7日間戦争につぐ伝説の戦争。 1分間戦争。





ここにその幕を閉じる。





45分後、部屋に戻り大掃除。



掃除機をかけ、布団、衣類、ぬいぐるみ、全て繊維製品を洗濯する。



この思い出も、体の刺され傷と共にいつかは消えてゆくのだろう・・・



こうして紳さんの部屋に再び平穏が訪れたのでした。





このサイトをご覧になっている、あなた。



あなたの家にもいつか、訪れるかもしれませんよ・・・・・・・



小さな悪魔が、ね・・・・・・









終わり。

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コメント

forum poker 2007.05.23 10:01:50

forum poker


wow gold 2008.10.21 00:33:33

I know some wow gold in wow.


グルミット 2010.09.19 09:32:11

その後 ノミは大丈夫ですか? ホントしつこいですよね


はて 2012.06.17 03:14:27

読みながら
鳥肌が立ちっぱなしでした


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